すかるのBlog

好きなケインはコスギです

銀行員の好きなローン嫌いなローン

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今日のテーマは好きなローン嫌いなローン。
ひとくちに銀行員と言っても性格や立場よって違いはあるので、
私の場合ということで読んでいただければと思います。

先に結論から。私が好きなローンは住宅ローンとマイカーローン、それから法人融資の3つ。中でも圧倒的に住宅ローンが好きだった。
ここ数年は自ら営業する立場ではなくなってしまったんだけど、
今でもたまに同行訪問するとワクワクしてしまうこの感情、根っからの営業マンなんだなと再確認する。

話は逸れたので本題に戻す。
住宅ローンが1番好きな理由は、なんと言っても家が好きだから。
工法見たり間取りやマイソクなんて永遠に見ていられる。

そういえば幼稚園に入る前、頻繁に家に来ては両親と綿密な打ち合わせをする、見知らぬおじさんを覚えている。
来る度に大きな紙を広げては熱弁を振るうその姿、
食い入るように聞き入る両親の姿、それらが脳裏にしっかりとこびり付いていて、
両親を虜にするおじさんを魔法使いのように思ったりもした。
大人になった今、それがハウスメーカーの営業マンであり、広げていたのは図面であったのだと気付く。

そしてその営業マンは両親の心を射止め、ある日すかる少年は大きな一軒家に引っ越して行くのであった。

マイホーム購入は多くの人の夢。でもキャッシュで購入出来る人なんてほんのひと握り。
夢を叶える住宅ローンは、夢の架け橋となる幸せなローン。
数千万~億単位の借入をするのだから皆不安な顔をするのだけれど、最後は笑顔で帰って行く希望と幸せに満ちた素敵な商品。住宅ローンが大好きだ。

同様に夢を叶えるという意味でマイカーローンも好きだ。
けれどマイカーローンは住宅ローンと違い、申込人が望んでいない場合があるため、住宅ローン程好きかと言われると幾許か格落ちする。
与信能力の少ない我が子或いは配偶者に代わりローン申込するケース、例えばそういうケースがあるからだ。
自分の車を買うわけではないのに、債務だけが増えるこのケース。
そういう時は決まって、申込人のお子さんの輝ける将来を本人に代わって語ることを心掛けた。未来ある我が子への先行投資だとマインドセットするのだ。この借入は必然性に満ちているのだと擦り込むのだ。

最後は法人融資。銀行員の醍醐味、花形。もっとも脳汁が出るのがこの商品。
先述の2商品とは全く毛色が違うけれど、やっぱりこれも好きなローン。
「あの会社のこの店舗、出店費用を融資したのは自分」
「この会社の新規事業には別の企業が関わっていて、その両社を繋いだのは自分」
自慢したくなる話がいくつもある。
もちろん口外するつもりはないけれど、そんな秘め事感もまたいい。
億単位のお金が動くためリテール融資と比べて圧倒的ダイナミズムを感じる。

通い詰めてどうにかして経理部長から決算書を貰い、自社に帰って財務分析を済ませ、渾身の提案を行う一連のフロー。そのすべてが尊い
いつの日か、この法人融資だけに絞ったBlogを書いてみようかな。

一方嫌いなローンは教育ローンやカードローン。この2つは最悪だ。
まずは教育ローン。こいつが1番タチが悪い。
まず例外なく教育ローンを借りに来る人は金が無い。
そりゃローン借りに来るんだからお金無いに決まってるでしょと言われるかもしれないが、そうではない。
例えば住宅ローン。例えばマイカーローン。これらを借りる人の中には、お金があるけれど借りるという人がいる。割と一定数。
考えてもみてくださいよ。車なら数百万、家なら数千万が必要になるわけで、仮にその額の預貯金があるからと言って全額使ってしまうのは余りにもリスキー。数千万円拠出したあとに不慮の事故、病で入院する事になったら・・?
そういう不測の事態に備え、お金を持っていても残しておいてローンを組むという考え方は割と一般的。今は超低金利時代。マイカーローンが年利1~2%程度、住宅ローンに至っては1%を割り込むような状況。大した利息負担にならないのなら借りてしまえ、というのは理に適っている。
話を教育ローンに戻すが、この商品を借りに来る人は例外なく金が無い。
お金が無い人を接客したくないのではなくて、謝絶(融資を断ること)が嫌なのだ。
やっぱり銀行員も人の子だから、「審査したけどアナタに金貸せないわ」とは言いたくないのね。前述の住宅ローンやマイカーローンは資力としては余裕のある申込も多い為、教育ローンに比べて承認率が高い。残念ながら教育ローンはそうではない。カードローンも一緒だ。
そのくせ教育ローンにせよカードローンにせよ、謎の自信を持って申込してくる人が多いから驚く。銀行は個人信用情報照会(通称:個信照会 "こしんしょうかい"と読みます)するんだから、嘘付かないでちょうだいね。お願い。

最後に。銀行員はお金を持っている人が好き。
なぜなら支店勤務者はクロスセルという魔法のコトバを唱えられ、上司から複合取引提案を強要される。上司も上司で本部から過剰なノルマを課せられている。
こういう構造上の問題から、住宅ローンの相談に来た方を他行流出させずに融資まで持って行くのは当然のこと、当たり前のように火災保険に入ってもらい、投資信託と平準保険にも入ってもらい、挙句iDeCoやNISA口座の開設までお願いするんだからタチが悪い。客は客で住宅ローンを貸してもらった恩義があるから無碍に出来ないってわけ。本当に阿漕な商売よね。

お金に疎い人は愚かだと思う。けれど銀行員の言いなりになっている人はもっと愚かだと思う。どうか正しい知識を持ってご来店下さい。明日も笑顔でお待ちしております。