すかるのBlog

好きなケインはコスギです

小説

仁②

仁の足取りは軽やかだった。釣銭を渡す時の堂盛子はどこか恥ずかしそうで、なんとなく自分に好意を抱いてくれているように感じた。触れるか触れないかの彼女の手が、何よりも愛おしく、そして儚くて。例えば釣銭を間違えたと追い掛けて来ないか、或いは別の…

毎日毎日おんなじ1日の繰り返し。 長針が短針を追いかけ回す24時間が明日もやってくる。 世界は日々刻々と変わっていくのに、変わり映えのしない毎日を繰り返す自分はなんて惨めな存在なんだと、鉛色の空を見上げて押尾仁は呟いた。1日のほとんどを自室で過…